きよすクリニック 診察室から

褥瘡(床ずれ)と糖尿病の共通点  No.52
ケガややけどをしたら、そのキズの部分を下にして寝たり、キズをいためつけることはしないのが普通(当たり前)です。

褥瘡(床ずれ)は、皮膚組織が骨と布団などの間に挟まれ、つぶされる、あるいは体位を変換するときに皮膚組織がよじられることで発生します。
しかし、キズができてしまったとしても睡眠や体位を変換することをやめるわけにはいきません。
つまり、キズの部分を下にして寝たり(圧がかかる)、キズのある部分によじられる力(ずれ力)がかかるわけです。
以上のことでおわかりのように、褥瘡が治りにくいのはキズに好ましくない力がかかるためです。

褥瘡の治療法としてラップ療法が優れているのは、低コストであることももちろんですが、医療材料として開発された他の被覆材と比べて、薄くてすべり抵抗が少ないため、圧やずれ力を軽減できるからです。


さて、糖尿病はインスリンの作用が不足して耐糖能が低下している、つまり血糖値を下げる能力が弱っている状態です。

インスリンを分泌する力が多少残っている2型糖尿病の場合には、脂質やたんぱく質は血糖値を上昇させず、糖質のみが血糖値を上昇させます。

糖尿病患者さんが糖質を多く含む食品である、米飯やパン、麺類、いも類、砂糖の含まれたものなどを食べると、健常人(糖尿病でない人)がこれらを食べた場合の2−3倍程度、血糖値が上昇してしまいます。

ケガややけどをした場合、そのキズの部分をいためつけはせず、守るようにすると思いますが、血糖値を下げる力が弱っているにもかかわらず、血糖値を上げるものを食べていては、いくら薬で無理やり血糖値を抑えこもうとしても、血糖コントロールが改善しにくいのは自明の理ですね。
2014/02/24



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